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舞台は、「佐伯荘」という木造2階建てのアパート。

国道を挟んだ向かいには、女子高があります。夏場は西日がひどく射し込み、室内はまるで蒸し風呂。

窓を開けると、ここにも国道。

女子高の前を通る国道と交差する、これもまた、国道。

 

朝の登校ラッシュは女子高生たちの大合唱です。それままるで椋鳥のよう。

 

「佐伯荘」の大家である早苗とその夫の清水。

1階の一番女子高に近い部屋に住んでいます。

 

そのまま、トタン屋根の駐輪場を左手に進みます。

階段を登り、2階。

手前から3番目の206号室は誠の部屋。

 

洗濯機は屋外に設置されており、正面玄関ではないにしろ、そこから国道へと通じることが出来る。

その幅は、少しばかり、狭い。

 

 

さて、いつきのことを話さなくてはいけません。

 

向かいの高校に通う女子高生。

印象的なのはその濡れたカラスの羽を思わせる黒髪。

 

膝上、太腿の、柔らかく膨らんだ曲線が覗く、スカート丈。

 

初夏の、霧吹いたように湿る少女の肌は、やたらに丈夫な布を内側から押し上げます。

そこに思わず怪物の顔を忍ばせてしまいます。

 

その白妙の肌に似合わぬほどに。

深い色味の制服がより、その純白さを掻き立てるようです。

 

そのあまりにも不実な甘味。

 

毎日、女子高生/いつきはやってきました。

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